皆さんは、ご家庭の猫ちゃんが何をどれくらい食べているか、ちゃんと把握していますか。人間と同じように、猫にも「栄養バランス」がとても大切です。今回は、猫の食事のポイントと、よく耳にする「総合栄養食」「フリスキー」そして「チュール」の違いについてお話しします。
1.猫の主食は「総合栄養食」
まず大前提として、猫にとって一番重要なのは「総合栄養食」というフードです。これは猫が1日に必要とする栄養素をすべてバランス良く含んだもの。「総合栄養食」と明記されているキャットフードだけで、主食として十分な栄養を摂取できます。
▶ 主食として与えるメリット
・栄養バランスが整っている
・与える量の目安がパッケージに書かれている
・室内飼いでも適切に調整すれば肥満や痩せすぎを防げる
総合栄養食には大きく分けて、ドライタイプ(いわゆるカリカリ)とウェットタイプ(缶詰やパウチ)があります。ドライタイプは保存が効き、水分は少なめ。一方、ウェットタイプは水分が多い分、風味がよく食いつきがいいのですが、開封後は傷みやすいという特徴があります。どちらを中心にするかは、愛猫の好みや生活リズム、健康状態に合わせて選ぶとよいでしょう。
2.「猫大好きフリスキー」と総合栄養食の違い
次に、よく耳にする「フリスキー」ですが、実は「フリスキー」はキャットフードのブランド名であって、総合栄養食だけを指しているわけではありません。「総合栄養食」として発売されている商品もあれば、「一般食」や「おやつ」の位置づけで作られた商品もあります。
▶ 違いを簡単にまとめると
・総合栄養食…
パッケージに「総合栄養食」と明記されていて、栄養バランスを満たすように作られている
・一般食、おやつ…
「総合栄養食」ではなく、風味や食感を重視。主食としては栄養が足りないので、補助的に使うイメージ
フリスキーといっても、実は商品ごとに表示が異なるのです。購入時にはパッケージの表示をよく読んで、「主食」として与えられるものなのかを必ず確認しましょう。
3.大人気のおやつ「チュール」はどんな位置づけ?
今や猫の定番おやつとして知られる「チュール」。ほとんどの猫ちゃんが大喜びする、いわば”嗜好性抜群”のおやつです。一方で、このチュールは総合栄養食ではありません。あくまで補助的な間食、お楽しみアイテムということを覚えておきましょう。
▶ 主食とおやつの併用が大切
・チュールは嗜好性が高いので、総合栄養食に飽き気味のときにトッピングする
・投薬が必要なときにチュールに混ぜ込む、など工夫の幅が広い
・与えすぎると栄養バランスの偏りや肥満になるので、1日のカロリーの10%以内を目安に
「チュール=猫が喜ぶ最強アイテム」といっても過言ではないかもしれません。ただし、チュールだけを大量に与えていると、必要な栄養素を十分に摂れずに、体調を崩しかねません。健康維持のためには、あくまで総合栄養食を中心に与えることが基本です。
4.1日の食事量・与え方の目安
(1) 子猫(生後1年未満)
・成長期のため、少量を複数回に分けて与えます(1日3~4回が目安)
・猫用ミルクやキトンフード(子猫用フード)などを検討する場合は獣医師と相談を
(2) 成猫(1~7歳頃まで)
・1日2~3回を基本に、ライフスタイルや猫の体重管理をしながら調整
・体重をこまめに計り、太りすぎや痩せすぎになっていないかチェック
(3) シニア猫(7歳以上)
・腎臓などが弱りやすいので、療法食やシニア用フードへの切り替えも検討
・定期的に血液検査などを受けて、獣医師のアドバイスをもらうと安心
5.避けたい食材と気をつけるポイント
・ねぎ類、チョコレート、カフェイン、キシリトールなどは与えない
・人間用の食品、調味料が入ったものは塩分が多く、猫には負担になりがち
・猫は水分補給が少ない傾向があるため、新鮮な水をいつでも飲めるように
6.まとめ:主食はしっかり、おやつはほどほどに
猫の食事で押さえておきたいポイントは、「総合栄養食」をベースにすることです。おやつや一般食として販売されているものは、どうしても栄養が偏りがち。そこで、おやつは「楽しみ」の一環として上手に活用しながら、愛猫が健康に長生きできるようにサポートしてあげてください。
猫の健康は、まず食事から。適切な食生活を続けることで、愛猫も元気に暮らすことができます。日々の食事内容や体重を記録しておくと、異変に気付きやすくなるのでおすすめです。
皆さんも、ぜひ一度、パッケージの表示や栄養バランスを見直してみてはいかがでしょうか。大切な家族である猫ちゃんの健康を守る一番の近道は、まさにそこにあるのです。
【参考にしたいポイント】
・猫に必要な栄養素やカロリーについては、獣医師や専門家の指導を受けるとより安心
・フードの切り替えや手作り食を検討する際は、時間をかけて少しずつ移行する
・猫の健康診断やワクチン接種などと合わせて、定期的に食事面を見直していく
以上が、猫の餌に関する基本的なガイドです。ぜひ毎日の食事に取り入れ、愛猫との暮らしをより豊かなものにしてください。